文字サイズ
小
中
大
ブログ 花ごころ
回想・・・。
2009/04/13
京都では藤をいけました。
野趣あふれる野藤を。
先日、大分に行った時、渓流沿いに藤棚がありました。
いろんなことが思い出されました。
藤・・・亡き師匠と共に、あれこれ水揚げ方法を試したこと。
藤・・・父が藤棚の下で、満足そうに煙草を吸っていたこと。
紫の・・・おぼつかなき様子に心惹かれ、思い出に浸りながら生けました。
幸いなことに、かなり水揚げがうまくいきました。
父や師匠がそっと力を貸してくれたのかもしれません。
慌ただしい生けこみの間でも、ふと回想できることは幸せなことだと思いました。
お花に乗って、一気にタイムトンネルを遡るような・・・
そんな嬉しい一瞬でした。
嬉しかったことがもう一つ。
私と同じように藤を生けようとなさっていた方がいらしたのですが、
遠く鹿児島から背負ってこられた藤がしおれてしまって、お困りでした。
私の野藤をお遣いいただき、とてもとても素敵に生けておられました。
本当に嬉しかった・・・。
儚い草木が少しでも長くその輝きを保ち、どなたかの心に届くことは、
お花に関わる者の一人として、本当に冥利に尽きるものだと思います。
しかも父の故郷の鹿児島の方とあらば・・・ひとしおです。
父が支えてくれたんだと・・・そう思いこんでいます。
もう一度あの藤棚を見に行こう。
面影を探しに・・・。
戻る
トップページに戻る