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ブログ 花ごころ
唐衣
2007/06/29
唐衣きつゝなれにしつましあれば
はるばるきぬる旅をしぞ思ふ
6月は杜若のお稽古が多かったです。
葉の養生をする間、いつも心をよぎるのが唐衣。
池坊人にとって、特別な花である杜若。伊勢物語の時代から、現在に至るまで人々の心を動かし続ける花なんですね。
初めて唐衣の歌のからくり(?)を知ったのはいつのことだったか・・・。
とてもロマンを感じて、遊び心満載の古典の世界に一気に引き込まれました。
皆さんよくご存知でしょうが、お稽古はじめの方のためにちょっと解説。
前記の和歌は、伊勢物語第九段に出てきます。
池坊では、杜若は女性を、花菖蒲は男性をイメージさせる花として表現しますが、ここでも杜若は、都に残した「愛しい妻」のたとえとして顕されています。
在原業平とおぼしき主人公が、お連れから「かきつばた」の言葉をすえて歌を詠んで・・と頼まれ、「つま」を想って詠んだ歌。
一読しても「かきつばた」はどこにも出てこないように思われますが、歌の中に潜んでいます。
唐衣 の・・・か
きつゝなれにしの・・・き
つましあれば の・・・つ
はるばるきぬるの・・・ば
旅をしぞ思ふ の・・・た
こんな歌がサラリと詠めるって・・・さすが・・・。
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