華道家元池坊いけばな教室 花空間 +++渡辺伯櫻+++

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ブログ 花ごころ

  • 瑞穂・・・。 2007/09/29
  • 輝き・・・・。

    実るほどにこうべを垂れるその姿は、本当に美しい。

    水をたっぷり含んで実りを迎えた稲穂。

    生まれてきて、これまでどれほどのお米を口にしたことでしょう。

    この時期、「瑞穂の国」というのを実感しますね。
    車ででかけ、一面の田園風景に出会うと「光り輝く稲穂」の美しさに目を奪われます。
    黄色に輝く稲穂と、淡い緑葉。
    その絶妙の混ざり合いが、輝きに奥深さを与えていると感じます。

    池坊のいけばなは、「稲」とも深いかかわりがあります。
    その発祥においてもそうですが、特に花留めにおいて・・・。

    今では花を留める際に、「剣山」が一般的となりましたが、
    元々は「込み藁」を使用していました。
    特に池坊の立花は、この「込み藁」があればこそ・・・でしょう。
    他に花留めとして「花配り」という木の枝を用いる場合も。
    いずれも自然の素材であるため、草木に優しく「込み藁」や「花配り」を使用すると
    花材との一体感が増すように感じます。

    「込み藁」は収穫し脱穀を終えた「藁」の芯を利用して、
    あく抜き(何度も)、乾燥し、束ねて作ります。
    今では人工のものを利用したりもしますが、「込み藁」を藁から作る工程は、
    「自然の恵み」と「瑞穂の国」ということをじわ〜っと実感する実に趣深いひと時。

    藁を入手することからが始まりですが、二年前、友人の田んぼで、
    直接自分で藁を選んで分けていただくことが出来ました。
    節の長いとても良いものでした。
    収穫後の田んぼに入り、藁をいただくことから始まる「込み藁作り」は、
    今までより更に有難く、私にとって意味深い時間でした。

    美味しくて、私たちの食を支える稲。

    藁となり、花を留め・・・。

    美しいいけばなを支えてくれてもいるんですね。

    近年「リサイクル」「エコ」ということが一層重要になってきていますが、
    池坊のいけばなは人々の暮らしの中で、
    さりげない「エコ」を続けてきたんだな〜と実感しています。

    美味しいお米と、美しいいけばな。

    瑞穂・・・・・。

    まさに瑞穂。