華道家元池坊いけばな教室 花空間 +++渡辺伯櫻+++

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ブログ 花ごころ

  • 色。 2010/02/12
  • 梅の花 匂ふ春べは くらぶ山
          闇に越ゆれど しるくぞありける

    太宰府天満宮献華祭での出瓶が、一週間後に迫りました。

    太宰府の地には幼い頃から父に連れられ、
    殆ど毎年のように観梅に訪れておりました。

    私にとっては父との思い出深い土地であり、
    学生時代を過ごした懐かしく楽しい地でもあります。

    山深い太宰府の地は深々と冷え込み、
    あっという間に銀世界に変わることもしばしば。

    まさに「幽玄」の世界です。

    父の晩年、大雪の太宰府に行きました。

    紅梅に降り積もった雪。

    父の「美しか〜」としみじみした一言が忘れられません。

    2月も半ばとなり少し暖かい日が続いたせいか、
    路地の梅も、我が家の庭の梅も、父が植えた実家の梅も・・・
    どんどん咲き進んでいます。

    まだ冬枯れの草木に対比して、ほんのり清らかに咲く梅のなんともいえない美しさ。

    献華祭にもぜひ梅をいけたいと思っていましたが、
    さて、この咲き具合をみてみると・・・ちょっと過ぎたものになるかもしれません。

    いつもの事ながら、コロコロと構想が変わってしまっていますが、
    今回は変わらないものがあります。

    風雪に耐えること!
    ・・・・屋外での展示ですので、風雪が容赦ありません。
        まず、倒れないこと。

    それから・・・父への感謝。

    父がいなければ、この道を歩んではいなかったでしょう。

    ありがとうと、何度伝えても伝えきれない思いを
    少しでも作品に託せたら・・・と思っています。

    幼い頃に見上げた梅の清らかな色を思い出しながら、
    心を込めて生けようと思います。