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ブログ 花ごころ
美しい・・・。
2007/07/05
瓶に花をさす事いにしへよりあるときき侍れど、
それはうつくしき花のみ賞して、
草木の風興をもわきまえず、只さしたる計なり。
この一流は野山水辺をのずからなる姿を居上にあらはし・・
(中略)・・・
・・・ただ小水尺樹をもって江山数程の勝概をあらわし、
暫時頃剋の間に千変万化の佳境をもよおす。・・
これは専応口伝の一節です。
池坊の根本理念をあらわす伝書。
かの川端康成が、ストックホルムでノーベル文学賞の受賞記念講演した際、
この池坊の専応口伝を引用したことでも有名ですね。
講演の題は「美しい日本の私」
日本の文化、美意識の原点としてあらわされています。
専応口伝は幾度となく読み込んで、心に刻んできたはず。
でも「花僧 池坊専応の生涯 澤田ふじ子著」を読むと
自分の浅さに恥じ入るばかり。
世界に誇る日本の美は、壮絶な人生から搾り出され
昇華されて生まれたのだと・・・。
ある程度は創作でしょうが、その淡々とした筆致に
読み返すたびに涙が止まらず、ただ絶句。
少しでもその境地に近づきたいと切望するばかり。
今日も明日もあさっても、草木の声なき声を聴き続けることで
少しでも近づけるでしょうか・・。
その存在が・・・美しい。
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