華道家元池坊いけばな教室 花空間 +++渡辺伯櫻+++

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ブログ 花ごころ

  • 初夏・・・。 2008/05/19
  • 緑輝く京都・・・。

    一週間、京都お家元に行ってきました。

    新緑が輝く京都は、初夏の風情に溢れていました。

    朝の澄んだ空気を味わいながら、トコトコ歩いてお家元まで通う道。
    今日も1日頑張ろう!と心が定まっていく感じです。

    今回は、新緑の季節を思う存分楽しもう!と思っていましたので、
    作品も新緑を味わうようなものに仕上がりました。

    いつも試行錯誤。
    迷ってばかりだったりしますが、迷う中でもその時の季節感だけはしっかりと定めておこうと思いながらいけています。

    いろいろ予定を考えたりもしますが、
    私の場合はどうしてもその時になってみないと気持ちが乗ってこないので、
    いつもお昼休みに構想です(笑)

    ちょうど杜若が盛りの時期。
    実技でも杜若を遣いました。
    とても難しいけれど、池坊人にとって必須の魅惑の花・・・。
    いろんな思いを込めていけました。

    杜若の生花をいけている間、今までのことが溢れるように思い出されて、
    たまらなく切なく・・・涙で目がかすみました。

    初々しい緑の葉の美しさ・・・。
    昨年までは共に愛でていたのに、今年はそれが出来ないと思うと、
    「天まで届いてほしい・・・。」と思ったりしました。

    こんなふうにして、いろんなことを重ねていくんだな〜と、
    あらためて実感しています。

    よくお花の表現において「年を重ねるごとに・・・」とか、
    「いろんな人生の波を乗り越えるたびに・・・」といわれることがあります。

    頭ではわかっていたのですが、まだまだ自分自身が体験していなかったので、表面のことだけで理解したつもりになっていました。
    自分自身がその立場になって初めてわかる心。
    今までの浅はかな理解を、深く恥じました。

    きっとこれからもいろんな波や悲しみがあり、一つ一つを必死に乗り越えていくんだろうと思います。
    辛いことも、苦しいことも、逃げずにしっかりと乗り越えられた時に、
    人を理解し、それが受容する心となって花へと投影されていくのでしょう。

    いろんなことを気づかせていただきました。

    どれだけ寛容な自分でいられるかも・・・課題です。

    今、我が家には京都から送った花材、背負って帰った花材が溢れています(笑)

    かきつばた、都わすれ、てっせん、アルストロメリア、なでしこ、スチールグラス、デルフィにウム・・・。

    もうだめかなと思ったウツギもしっかり復活!

    草木の命の輝きに力をもらって・・・京都の余韻に浸って・・・。

    また頑張ろう!